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世界経済研究協会「白馬会議」2012年11月24日
一橋大學経済研究所 小黒 一正 准教授発表
「財政再建:消費税25%超に耐ええられるか」へのコメント



現在の宇田信一郎が手がけるLSEフォーラムを始めとする様々な活動は、ここに紹介する、(旧)新政研究会、新・新政研究会の活動が支えとなってきた。

「新政研究会」これからの目標

新政研究会

これからの目標

(2009年政権交代の前に)

 

新政研究会は、超党派で、戦後設立されたが、その後保守合同のさきがけとなり、《別項−当時の署名者》安保改正に尽力した実績をもつ。衆議院議員であった初代理事長時代は、元総理が会長や他の複数の元総理が顧問となったりして日本の政治に貢献した。現代表は、1966年の著書以来政権交代のできる政治に向けての主張をしてきたが、会を継承した1992年に、二大政党制への移行に関して、小選挙区制の導入を始めとする提言をしてきた。(1966年の著書「政治と人間生活の接辺について」、序文、1992年「新・新政研究会の目標〉参照)

しかし、本格的な政権交代には、16年を要し、その間に日本のGDPは、個人国民所得平均がトップレベルから、2009年には19位に低落した。

危機的な側面としては、二大政党制が安定的な制度にはならず、政治権力獲得面での戦術が優先し、政局面での争いを有利に進めるため、勝手のEU成立前のイタリヤのフランスのように小党化への動きが強まり、合従連衡を繰り返し、政権交代のたびに政治が不安定になり、日本のグローバル戦略もさだまらず、世界的総合社会の形成過程における日本の占めるべき適切な位置も確保できず、国内政治が浮遊化するために国内の安定が損なわれ、国民の主権による政治・民主主義の進化、効率化が阻害されることの可能性である。

この日本の陥った、隘路を打開し

二大政党制を中心として、政党間の協力関係の変化は、現行の選挙制度上ありえるとしても、日本の社会に活力を与え、時代環境、グローバル環境、政策環境の変化に対応し、国民の選択に基づき、円滑な政権交代のできる日本の民主主義を推進する。そのため基本的に日本の政治で、与野党共通に実現しなければならないものとして、1992年当時の新・新政研究会の目標にくわえて、下記の分析と、現在必要なターゲットを設定する。

 

一、           政党間の競争は、勿論であるが、その前提として、明治以来現在までの日本の近代化にとって必要欠くべからざるものであり、特に、敗戦後の民主化の過程では、日本の混乱の主たる原因である、政党間の共通の底辺が不完全にしか醸成されなかったことであった。

二、           政党間の競争の前に、緊急に与野党協力して、三以下の日本の社会目標、政治の共通目標を実現すべきである。

三、           より進化した三権分立をうちたてるべきである。明治以来、政治、経済の担い手、法と検察、軍部、官僚、マスコミ、世論、それぞれ正しいことも、間違ったこともあった。戦前にあっては、法と検察は政府・行政と一体であつた。戦後は、民主主義の導入により建前としては、現在の政府と検察権の発動は、連動しないと関係者は述べるはずである。しかし検察権が思うと思わざるとにかかわらず「政治」に関係して発動された場合、その当否は最高裁判所まで争われると、関係する政治家の政治的生命が失われるのみならず、その必要とした時代に即応する政治や政策の実現、時代の要請にこたえる政治運動のモメンタムは失われ、国家の命運に影響する。また、その検察の動きを政治の担い手である各政党が、国民の倫理感を担保にとり、自己の政党の命運の発展に利用しょうとするため、世論が変化するのみならず、いわば、「政治」が検察に分断され、国民世論の分裂を深める結果、政権交代への政治的意思の決定過程である政治過程が変化する。勿論、法は一定の法的構成要件に適合する事象を対象として、正義を発動するものであるが、こと政治に関係する案件に関しては、きちんとした立権事由は勿論、確実にあるべきであり、見込み捜査等は、排すべきで、参考人招致から、それを元に捜査を拡大する前に、きちんとした説明を国民にするべきである。大衆やマスコミへの独占的な情報操作にならぬよう、いわば、政治的公正については、特に留意すべきである。現実に検察権の発動が、国民の政権交代への公正な判断を乱す、怖れのあるときは、与野党の公平をはかり、国会の40%ぐらいの議員の賛成で、検察側の説明を国会で求める制度にすることが、明治以来の、時の権力と検察の不適切な関係を是正し、新憲法の国会は国権の最高機関であるという新たな三権分立の姿を実現する方向ではないだろうか。この点のルールづけについて与野党の共通の理解と行動が望まれる。

四、           最小限の憲法改正

平和憲法、平和国家であることの確認と共に、追加条項として、自衛の権利のあることをしるすため、与野党の共通の理解にもとづき憲法を改正する。

五、           国際的な貢献を平和的方法を通じてすることを、人類社会への日本の貢献の最高方針とする政策目標を樹立する。

六、           そのための最高の外交目標として、国連常任理事国のメンバーとなることにあらゆる外交政策、国際間への経済政策をはじめとして、文化交流、人の国際交流の目標を関連づける。

七、           経済・財政政策

ア)                         財源の確保

財源の確保は、90年代以降日本の陥った最大の罠であり、いかに国民貯蓄が1400兆であるとか、国債の消化は、日本国内でされるとか、純債務は少ないとかいっても、抗弁にすぎず、先進国中最大の政府一般債務があり、GDP比200%に向かっており、有力国際組織が、世界132番目であると指摘する重大さを覆い隠すものである。もはや日本の敗戦時や、戦勝国米国の取った緊急時の通貨措置が必要である。このような財政状態にした責任は、最近までの与党である自民公明にもあり、超党派で、「通貨の発行、単位に関する法律」や「日銀法」、「財政法」などを駆使し、必要なら改正を含めて、抜本的な財源確保の措置をとるべきである。

イ)デフレギャップと潜在成長力の再認識                          

    現在35兆円とよく言われるが、仔細にマクロ指標を確認すると、一桁違う実態が明らかになり、ある研究では。少なくともGDP3分の1以上とされる。2009年末の段階では、日銀は潜在成長率を0.5%とし、さらに現内閣は、年末に発表した成長戦略では、1.5%程度にしている。シカシ、GDPギャップの空間を正しく客観できれば、政策正しきを得れば、成長率は、政府の数倍をもターゲツトとしうる。つまり、財源さえ確保できれば、はるかに大きな需給ギャップを埋め、より高い成長を実現することが可能である。それにより、雇用の確保、労働分配率の工場、福祉国家の諸政策の維持が可能である。(詳細は,別紙)

  ウ)適切な長期成長戦略の確立と、名目成長率を実質成長率より適正な正の差で実現することにより、国民経済が持続的に発展しうる。デフレの時の財政経済政策、インフレの時の金融政策が適切に発動されるように、政府関係の経済調査研究所は、適正な分析をして、政治主導の政策判断がなされるべき資料を提供しなければならない。コンクリートから人でも、両者の並立でも、この視点は必要である。また円高、円安の両局面でグローバルな政策をそれぞれの優位性を生かした政策に転換することも考えていかねばならない。

八、           グローバル政策の適切な展開

日本の国会が、政権交代により「政治主導」を進化させていくことで、民主主義の発展にとつて良い方向に向かってはいる。与野党の双方を多くの政党が経験していくことにより、単なる反対のための反対が少なくなり、建設的な政策審議をしていくことを期待したい。しかし、国会の審議を、政策主導型でなく、「政局主導型」と感じる国民は多い。既に90年代以降のグローバル社会の進行については、バブル崩壊後の日本の政策が適切なグローバル政策を進められなかった政策の不適切さに負うことが大きい。また政局主導型の国会政治が,今まで一から七までのべてきた政党間の共通の底辺が実現しなかつたことを含めて、日本の政治に大きく影響している。このままでは、各国特有の歴史的、社会的、政治的、経済的、文化的条件に影響はされるが、全体として起生転変するグローバルな世界的、総合社会の形成過程での、わが国の適時、適切な時代環境での戦略的ポリシーが樹立できない。90年代の失われた10年により、アジアにおける「雁行形態」の日本の先進性、モデル性は、毀損を受けたが、今回の政権交代後も、いまだに国会での論議は、適切なグローバル戦略の審議には及んでいない。端的な例をとれば、EPA《経済連携協定》やFTA(自由貿易協定)など経済協定や農地の海外取得や資源獲得では、韓国、中国などに比べてはるかに遅れている。先ごろの鳩山首相のインド訪問中に、韓国大統領は、中近東の原子力の4兆円に及ぶ超大型プロジェクトに、日本、米国の代表的企業を押しのけて獲得しさらに別の国での原子力研究所の建設協定も締結した。私的企業と国家の連携に積極的であり、日本の戦略分野であるインフラ面での海外進出とグローバル社会への貢献を利益を獲得して実施する面でも水をあけている。この場合、日米が協力する場合の戦略検討も課題である。また少子高齢化を補完する日本の産業基地をどのように確保するか、日本の人口増加にはならなくても、海外に日本関係人口を増加し持続的関係にするための戦略も遅れている。

九 政党間で、共通の底辺で実現すべきは、以上の観点からの政策の早急な実現であるが、その上で、方法なども含めて、活発な政党間の前向きの競争が望まれる。しかし、三,四、七のア)については、与野党が一致して実現されることが、日本の政治、社会の安定のためにひつよう不可欠であり、緊急である。

十 最後に,これからの日本の社会の構造にとって、礎となるべきは、社会の競争性と公平性の衡平を保った実現である。つまり社会の競争力確保と福祉社会の両立である。これについては、2008年の英国アカデミー後援の会議での新政研究会の代表の講演を基にした、「G8サミットは拡大すべきかー日本の政治・経済・社会の進路に関連して」(1−166ページ)や1958年の小生の論文「現代国家の指導理念」さらに翌年の大學の政治学会誌の巻頭言を参照してほしい。(別掲)

十一ひとつ附加したいのは、以上の共通の底辺を実現するためにも、正しい国民の理解、世論の形成にとっても、コマーシャリズムや軽薄なサロン的な世論がポピュリズム的に国民に影響しないためにも公共放送とその通信との協力・融合による公共的インターネツト放送、データの国民への提供、広範な国会各委員会での審議を、国民に同時中継や、事後の検索可能なリピート放送での提供が可能になることである。これらは、これからの社会発展のかぎとなる公共性の実現をメデイア面で推進するもので、国民の公共的な判断に資するものである。

十二、最後に政治的実践と政治学的考察の関係について、感想を述べたい。新政研究会の前理事長が、14回の立候補を通じてほぼ50年政治家として辛酸をなめた。しかも保守合同を進めたのは、落選中であり、その政治的志の深さには、一人の人間として敬服し、遠く及ばないと感じている。冨貴の家柄に生まれたのでなく、政治資金が特に現職議員にたいして税金で相当部分カバーされる今と違って落選中の資金獲得は、並大抵では、無かった。しかし逆に言うとそういう時代の方が、真の政治家を育てうるとも思われる。現在の政治資金管理法もその観点と日本の社会の活力維持の点から見直されるべきと思っている。一方現実の政治の日日切迫した多忙きわまる日常からは、政治経済を含む社会現象を見つめて、「社会科学及び社会政策の認識のための客観性」などを現実の政治局面で、深く思考する暇は無い。せめて政治家個人個人に求められるのは、「心情の倫理」と「責任の倫理」の融合であろう。今日の日本国内状況、グローバルな時代環境の変化は、速度を増している。そのとき、政治家が政治行動をとるとき、現実に迫り来る国家の利害についての的確な判断と、グローバルな観点からの長期的、中期的な視野の深さであろう。この点については、また再論の機会を得たい。

            新政研究会代表   宇田信一郎

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    代表 宇田 信一郎

 

参考資料

「新・新政研究会」の事業推進について(1992-05-25)

父宇田国栄(故人)が終戦直後日本の発展に尽力すべく設立した新政研究会は、時代に適切な政治、経済分野をはじめとする提言を行い、ことに保守合同運動の先駆をなし、昭和35年の安保条約の改正については、総裁秘書役として微力を尽くしました。

現在日本においても、大規模な政府系の、あるいは大企業のシンクタンクが設立され、多くの人間と予算を擁して精緻な提言を行ってはいます。しかし、真の意味で中立で、日本と世界において必要な提言と具体化のための行動は、優れて強固な信念を持った個人によって、まさに国が個人に何をしてくれるのかではなく。個人が国と世界に対して何をなしうるのかを追い求めていくことにより実現されるものと信じます。私は、父が安保条約改定の際、デモ隊に囲まれながら、総理官邸に深夜留まった七人の衆議院議員の一人であったことに大きく心を動かされ、大学卒業後勤めていた会社を休職し、ロンドンに留学して、イギリスのBBC放送で日本向けの放送に従事しながら、日本が二極化した世界の中でどう行動すべきかを模索いたしました。

帰国後、NHKで、国際局、報道局、総合企画室、国際協力、監査室、会長室で、27年間働かせていただきましたが、このたび会長室主幹研究員の職を辞し、新たに新政研究会を、次の原則によって運営いたします。

今日では、各国特有の歴史的、社会的、政治的、経済的、文化的条件に基づく進歩なり、近代化なり、発展が世界的な社会の形成過程のもとでなされておりますが、いまや世界の動きと地球環境の中で日本の政治、経済、社会の発展を図っていくことは時代の要請であり、新政研究会はこれにこたえるべく次の8大目標を推進します。

  • グローバルな世界と地球環境に調和する日本の発展を図り、世界の平和、安定に寄与するよう勤める。また日本が、世界でも民主主義の亀鑑となるような社会の構築を目標とする。
    日本国内については、中央と地方の近郊ある総合的発展を目指し、国土のバランスを図るとともに、必要な場合従来の地域区分に拘泥しない国民生活に真に資する社会開発や地方行政システムも推進する。
  • この目的に沿う重点事項として、日米グローバルパートナーシップにより、自由社会はもちろん、アジア、ロシア・東欧の民主的発展が安定して進められるよう西欧をはじめ先進諸国と協力し、さらに地球的視野で解決していく。
  • このため(ア)日米間の融和を保持し(イ)利害が重なる場合、バイラテラルだけではなくマルチラテラルな視野で国際的に公正な法原則の樹立を目指すが、建設的な妥協も時に応じては実現し(ウ)協力を強化するための提案を行う。
  • ブルッキングインスティチュート、戦略国際問題研究所、ランドコーポレション、米国州地方行政アカデミー、アジア財団などの有識者との連携を深め、また英国王立国際問題研究所のフォーリンアソシエイトとして、ロンドンのチャタムハウスで開かれるEC、極東、ロシアなどの所謂地域エリア問題、世界環境問題、国際経済、国際通貨、南北問題の会議、セミナーに積極的に参加し、わが国政財界のリーダーに報告し、わが国の政策形成の参考にする。
  • 日本の選挙制度の弊害による政治の腐敗を最小限にとどめるための政治改革を推進し、権力の交代がスムースに行われるようにする。その際私の媒酌人であった故岸信介首相、個人の父が昭和30年代より実現を図っていた小選挙区制度は、比例代表制との併用が適切であるかどうかの検討を含めるにせよ、最重要な目標とし、必要な場合新党運動や、野党の大連合を呼びかける。
  • 日本国内の政治、経済、社会、文化の政策は、もちろん世界的な視野で求められる政策に対して、普段に有識者の意見を求め問題の提起と政策推進への示唆を行う。
  • ODA(政府開発援助)については、わが国の政策分野で戦略的でなかったテレコミュニケーション、放送を含む広義のコミュニケーション分野で映像や音声、データベースでの世界的ネットワーク形成に留意し、ハードとソフトの調和を目指す。
  • 英国の王立国際問題研究所のフォーリンアソシエイトであるほか、日本計画行政学会、国際開発学会の会員であるので、これらの学会を通じても政策研究と政策推進課題発掘に努める。

そのほか、調査、研究、雑誌の発行、必要に応じた会合の開催、セミナーの主催などは新政府研究会の従来からの活動の通りとします。

昭和20年の創立の新政研究会は、別紙の通り、(一)普通会員(二)賛助会員(三)特別会員により構成されていますが、今回事業目的を発展させるにあたり、次の会員を設けます。(四)外国会員、(五)オピニオン会員。外国会員、オピニオン会員ともに、わが国および世界の直面する問題について、雑誌「新政研究」にオピニオンを発表し、毎月の政治、経済を中心とした、会の提起する課題について所見を発表できることは、普通会員、賛助会員、特別会員と同様ですが、会のほうからオピニオン会員を委嘱した場合には、会費を免除するものとします。 なお、新政研究会は、利潤を追求いたしませんので、収支上プラスの部分は、全て会の目的のための活動に再投入されます。

平成4年5月25日
宇田信一郎

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1960年安保改正
米ソ和解へ向けて

躍進の基盤、保守合同のさきがけ 新政研究会推進大会・出席者署名

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